優秀な人材ほど辞める時代に。離職防止に必要なのは・・
人材不足が深刻化する中、「せっかく採用した優秀な人材が定着しない」という悩みを抱える企業は少なくありません。
待遇や福利厚生を見直しても、離職が思うように改善しない。その背景には、これまで見落とされてきた課題があります。
離職の理由は「待遇」ではない
退職理由として、給与や労働条件が挙げられることは多くあります。
ただ実際にはその奥にある「この会社で働き続ける未来が描けない」という感覚が、大きな要因となっているケースが少なくありません。
特に、自ら考え行動できる優秀な人材ほど、自身の成長やキャリアを真剣に考えています。
だからこそ、
「今の仕事に意味を感じられない」
「成長の実感が持てない」
「このまま働き続けてよいのだろうか」
そんな迷いが生まれたとき、転職という選択肢を自然に検討するようになります。
そう、離職は突然起こるものではなく、日々の小さな違和感が積み重なった結果なのです。
人は会社を辞める前に、仕事の意味を失っている
「あなたにとって、仕事とは何ですか?」
もし社員一人ひとりに、この問いを投げかけたら、どんな答えが返ってくるでしょうか。
「生活のため。」
「お金を稼ぐため。」
「家族を養うため。」
もちろん、それも大切な理由です。
一方で、
「誰かの役に立つため。」
「自分の成長を実感できる場所。」
「社会に価値を届けること。」
そんな答えが返ってくる人もいます。
同じ仕事をしていても、仕事にどんな意味を見出しているかによって、日々の行動や成果、そして働き続けたいという気持ちは大きく変わっていきます。
「レンガ積みの3人」が教えてくれること
有名な寓話に、「レンガ積みの3人」の話があります。
旅人が3人の職人に「何をしているのですか?」と尋ねました。
1人目は、
「レンガを積んでいます。」
2人目は、
「生活のために働いています。」
そして3人目は、
「多くの人が訪れ、何十年先も愛される大聖堂をつくっています。」
3人とも同じ仕事をしています。しかし、見ている景色はまったく違います。
仕事を「作業」と捉えるか、「価値を生み出す営み」と捉えるか。
その違いが、働く姿勢や挑戦する意欲、そして仕事への充実感を大きく左右するのです。
内的モチベーションは、「気づくもの」
「もっと主体的に動いてほしい。」
そう願う企業は多くあります。
しかし、主体性は指示や制度だけでは育ちません。
自分は何のために働くのか。どんな価値を発揮したいのか。
誰に、どんな影響を与えたいのか。
あなたの仕事は、あなたの大切な人にとってどんな意味を持つのか。
こうした問いを通して、自分自身の価値観と向き合う時間があってこそ、仕事の意味は少しずつ育まれていきます。
内的モチベーションとは、会社が与えるものではなく、自分の中にあるものに気づくことで生まれるものなのです。
離職を防ぐのは、制度ではなく「対話」の積み重ね
離職防止に必要なのは、制度を整えることだけではありません。
一人ひとりと丁寧に向き合い、その人が何を大切にし、どんな未来を描いているのかを知ること。
そのために欠かせないのが、1on1(対話の時間)です。
業務的な面談ではなく、本質的な「対話」を通して、仕事への意味づけや価値観を言語化することで、社員は「この会社で働く理由」を自分自身の言葉で見つけられるようになります。
1on1(対話の時間)は、社内の人にだからこそ言えない本音もあるかもしれません。
そこは対話のプロフェッショナルに頼るのも効果的です。
一方で、1on1(対話の時間)だけでは、組織全体の変化にはつながりにくい側面もあります。
一人ひとりの意識変容を組織全体へ広げるためには、同じテーマについて対話し、互いの価値観に触れ合う場も必要です。
グループ研修では、自分にはなかった視点や考え方に出会い、「こんな働き方もあるのか」「こんな価値観もあるのか」と気づく機会が生まれます。
個人との対話で深める1on1。
仲間との対話で広げるグループ研修。
この両方があることで、一人の変化がやがて組織の文化となり、「主体的に働くこと」が当たり前の風土へと育っていきます。
一人の変化を、組織の文化へ
私たちが目指しているのは、一人ひとりが仕事に意味を見出し、「ここで成長したい」「この仲間と挑戦したい」と思える状態をつくることです。
その結果として、社員が組織に愛着を持ち、挑戦し続ける文化が育まれていく。
離職防止とは、人を引き留める施策ではなく、人が前向きに働き続けたくなる組織をつくること。
その第一歩は、「あなたにとって、仕事とは何ですか?」という、一つの問いから始まるのかもしれません。
